重厚長大からライトノベルへ

主にライトノベルの感想とそれに関連するネタを書きます。

ライトノベルの魂はどこに宿るのか?

今こそライトノベルの定義を語るべき

 

 この質問を受けた時、どう返すだろうか。もし、相手が「ライトノベル(ラノベ)」という単語を始めて聞いた人であるならば、「Light Novel」と書いて、和製英語で、一般小説より軽くて、中高生向けで、キャラ絵表紙で……と色々答えるだろう。
 しかし、そういう人に対してであればこれで通るが、相手がラノベの概要を知っている人である場合、最終的にこの答えを出すだろう。
 
「あなたがそうだと思うものがライトノベルです。ただし、他人の同意を得られるとは限りません」 
 
 
 ★「ライトノベルの定義」。あなたがそうだと思うものがライトノベルです。
  ただし、他人の同意を得られるとは限りません。
 
 上の文はラノベをある程度知る人にとってはよく知られた文である。これは2chライトノベル板の看板に書かれた言葉であり、2ch内だけでなく外でも幾度とラノベの定義論争を落ち着かせてきた。そして数多くのラノベに対する批判の盾となり、矛となってきた。
 そもそも、何故ラノベの定義は争われるのだろうか。
 それは、前項のライトノベルは何かの例として挙げてきた「一般小説より軽くて、中高生向けで、キャラ絵表紙で……」という事項に少なくない例外が存在するからである。
 何かをラノベの定義に入れようとすると何かが溢れ、すべてを内包する円を描こうと思うとほとんどの領域をカバーしてしまい、逆に縮めると今度は中に入れるものがなくなってしまう。つまり、どんなラノベの基準を用意してもラノベを分けることはできない、ということだ。
 
(一般小説より軽いと言われても軽いとは何か? 文章が簡単という意味なのか? 内容が軽いという意味なのか? ラノベの人が死ぬ話と一般小説のギャグではどちらが軽いのか? 中高生向けなのに深夜アニメ化するのか? キャラ絵表紙ではないけどラノベと呼ばれるものがあるがどうなのか? 一般小説のキャラ絵はどうなのか?)
 
 ラノベの定義は決まらないのである。だから、人はそれぞれ自身の定義を持つこととし、他人に干渉しない、ラノベについて話すときはお互い認識を確認し譲歩すること、または定義には踏み込まないことが重要となったのだ。
 
 それぞれ個人のラノベの定義があるということは述べた通りだ。ところで、
 あなたの定義は何ですか?
 実は、この記事を書くに至った理由はここにあるのだ。
 
 自分のラノベの定義がない。
 
 昨今、ライト文芸(一般小説とラノベの間の作品のこと)、ネット小説など、ラノベ(そもそもラノベと呼べるかは人によるのだが)はかつてない変化を見せている。加えて、一部のラノベやアニメを見ただけの批判もよく見るようになり、ラノベを読む側からすれば反論などを考え、ラノベを見つめる機会に多く立たされるようになってきた。
 しかし、その私たちはラノベを掴みきれているのだろうか?
 他人の定義は置いといて、自分の中のラノベの定義はできているのだろうか?
 できている人もいるのかもしれないが、ラノベの場においては定義はタブーのように触れられてきていなかった。その中で整理はできているのだろうか?
 
 
 自分の中でライトノベルアイデンティティ=魂がどこにあるかを知る時が来たのではないかと思う。