重厚長大からライトノベルへ

主にライトノベルの感想とそれに関連するネタを書きます。

感想「[映]アムリタ」(野﨑まど/メディアワークス文庫)☆☆☆☆

芸大生の二見遭一は自主映画制作に誘われた。その映画監督は天才と言われる最原最早がするというものだった。二見は最原の絵コンテを見た瞬間に五六時間もぶっ続けで読んでしまうほど引き込まれてしまった。そして、男優として参加して映画を撮影していくのだが、もともとは別の男優がいて、実はその人は交通事故で死んだという……。


[ネタバレ注意]








メディアワークス文庫の新人賞一弾。野﨑まどのデビュー作! あまりにも面白く、この一冊は一瞬で読み切ってしまった。
最初は、天才映画化の元で映画を作っていく、そしてそれは見た人が涙をながすほどの出来だった。しかし、最原の以前作った映画は見た人を強制的に泣かせる一種のドラッグというものだった。ここからはページを捲る手が止まらなかった。
主人公は彼女の家に放置された絵コンテ、映画「アムリタ」から彼女の真相を読み解き、自分が犠牲になることで他人に被害が及ばないようにする。しかし、このあとのどんでん返しには驚かされた。物語の最初から主人公は主人公でなかったのか、死んだ男優は本当に存在したのか。そこの謎を解明してほしいような、このまま隠されていてくれたほうが想像できていいのか、そこも悩んでしまうような驚きの作品だった。